抄録
放射性セシウムが大量に環境中に放出されたが、土壌にフォールアウトした溶存態セシウムの殆どが土壌表面の粘土鉱物粒子に吸着したと考えられており、その移行は、極めて遅いことが知られている。この性質は、放射性物質の拡散を妨げるという明確な一面を持っていると同時に、その不可逆的吸着により、除染によるセシウムの除去が極めて困難な課題となっており、粘土鉱物の正確な結晶構造、そして、セシウム吸着による科学形態の変化等の理解こそが、本質的な困難解決の一歩と考えられている。そこで、発表者らは、前回に引き続き、第一原理計算手法を利用することで、様々な粘土鉱物の正確な結晶構造を明らかにする他、セシウムの交換エネルギーを評価し、更によりリアルな粘土鉱物結晶表面での吸着過程についても触れ、原子・分子レベルからの知見を報告したい。