抄録
核燃料サイクルの脱硝転換工程においては,マイクロ波加熱脱硝法により,使用済み燃料の再処理溶液からMOX原料粉末を製造している.円筒容器の場合,マイクロ波照射による突沸及び噴き零れ現象の発生が確認されていることから,加熱時の沸騰挙動を十分に把握する必要がある.本研究では,マイクロ波加熱時の突沸及び噴き零れ現象のメカニズム解明を目的とする.実験では,高速度カメラを用いた突沸時の詳細可視化観測を実践し,マイクロ波の照射条件が容器直径や初期液位に及ぼす影響及び,得られた可視化画像の気泡径から,液相温度の評価を行った.その結果,液相は過熱状態であることが示唆され,突沸には液相過熱度が大きく影響していると想定される.今回新たに,直接接触式の光ファイバー温度計を用いることで,これまで計測困難だった液中の温度計測を行うことに成功した.解析結果を基に,突沸の発生条件や突沸に至るメカニズムの構築を行う.