抄録
軽水炉炉心においてBWRでは沸騰熱伝達が、PWRでも高出力状態では局所サブクール沸騰による熱伝達が起こり得るが、その際に、沸騰による燃料棒の振動誘起の可能性が考えられる。過去には実機体系を模擬した流水試験装置を用いて、沸騰振動の程度や影響が評価されているが、沸騰誘起振動に対する基礎的検討が十分とは言い難い。そこで、発熱棒上端を固定し、下端に加速度計を設置した静水試験体系において、サブクール沸騰下の発熱棒の振動測定を実施した。得られた加速度スペクトルからは、固有振動数に相当する振動の励起や、幅広い周波数領域での加速度増加の傾向が確認でき、これらは、サブクール度や発熱棒表面の過熱度に依存する発生気泡挙動に影響を受けていると考えられる。本研究では、沸騰振動試験において確認した気泡発生の様子を温度パラメータと関連付け、発熱棒の加速度スペクトルの変化にどのように影響しているかを整理した。