抄録
自然界における揺らぎは、多くの場合、1/fの揺らぎと呼ばれる現象に収束する傾向がある。この揺らぎ現象を、統計学及び統計物理学の手法のみで記述することは困難であるが、フラクタル幾何学においては、拡張ブラウン運動による1/f揺らぎのモデルが提案されている。本発表では、この拡張ブラウン運動モデル下で、デルタ追跡法(delta tracking)による中性子飛程長サンプリングが可能であることを報告する。また、数値計算結果が、解析学・確率論におけるJensenの不等式による関係を満たすことを示す。1/f密度ゆらぎは、沈殿実験において観測される現象でもある。本発表における研究の目標は、モンテカルロ法によって、福島第一原発の臨界管理の不確定さを評価することである。原子力以外の分野においては、大気上空の雲中の太陽光線の透過に応用可能である。