抄録
シリコン炭化物(SiC)は実用型核融合炉ブランケット内の中性子増倍材とトリチウム増殖材間を分離するための絶縁材料として期待されている。放射線照射環境下に曝されたSiCの電気特性の変化について調べることは、核融合炉ブランケット設計において極めて重要である。本研究では、日本原子力研究開発機構(JAEA)高崎研究開発センターのガンマ線照射施設を利用して、ガンマ線照射下において室温でSiCの電気伝導度をその場で測定した。 照射下における電気伝導度は照射前の伝導度よりも高い値(照射誘起伝導度:RIC)を示し、RICは線量率に比例して増加することが判明した。また、照射後の電気伝導度は低線量で急激に増加し、約1.44 MGyまで照射すると照射前の伝導度に比べて約3倍になること(照射誘起絶縁劣化:RIED)がわかった。