2020 年 2020 巻 97 号 p. 13-20
セネガルにおいて食料農産物の消費拡大と都市化が進む中,都市部住民の消費の実態把握は今後の消費動向を理解する上で重要となる。本稿はセネガル北部に位置するサン・ルイ市に在住する消費者を対象に調査を行い,食料消費の実態について検討した。
食料消費行動に関する聞き取り調査及び食事量の実測調査に基づき,食料消費から食後の処理までの一連の流れと背景を分析した。84世帯を対象とした食料消費調査の結果,消費者は昼食として主にコメを選択するが,夕食における主食選択は多様であった。また,一定数の世帯において,非血縁者と食事をともにする共食が確認され,食べ残しの多くがターリベなどに施されていた。本調査結果から,都市部で十分に食事が行き渡らない人々に対して食の再配分が行われている可能性が示唆された。