アフリカレポート
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論考
「住民参加」によるアフリカ熱帯雨林の保全と開発に向けて――ガボン南西部ムカラバ・ドゥドゥ国立公園の事例から――
松浦 直毅
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2014 年 52 巻 p. 88-97

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抄録

アフリカ熱帯雨林とそこにすむ野生動物の保全は喫緊の国際課題であるが、政情不安や経済の停滞にくわえ、地域住民との軋轢が保全政策の大きな障害となっている。有効な保全体制を構築するためには、地域の社会的文脈をふまえ、地域コミュニティごとに固有の特徴と地域住民の多様性を理解することが重要である。そこで筆者は、ガボンの国立公園を対象に、地域コミュニティの歴史的・文化的背景および住民生活の実態について調べた。その結果、①地域コミュニティは、その歴史的・文化的背景により、出自や経歴が多様な人々から構成される流動的なものであること、②住民生活は、伝統的な自然資源利用を基盤としながらも、伐採事業や保全事業に強く影響を受けていることが明らかになった。一枚岩的な地域住民を前提とした「住民参加」概念を外部から当てはめるのではなく、地域社会の実態に即して内部からコミュニティを抽出し、それをもとに保全と開発事業を進める必要があるといえる。

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© 2014 日本貿易振興機構アジア経済研究所
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