2015 年 40 巻 p. 77-91
本稿では、インタビュー調査に基づき、ゲイカップルの生活領域における意思決定プロセスを明らかにすることによって、パートナー関係における民主主義を考察することを目的とする。研究の結果、ライフスタイル上のロールモデルの不在という状況下で、パートナー間において交渉により合意に至る民主主義のプロセスが展開されるという先行研究の知見が支持された。その一方で、意思の相違や力関係、ヘテロノーマティビティが民主的な意思決定に支障をきたすことが示された。以上を踏まえ、パートナー関係における民主主義に困難性が生じる場合の意思決定モデルの構築の必要性が明らかになった。