2018 年 43 巻 p. 81-95
知的障害者のきょうだいが持つ遺伝に対する意識や情報提供に関する実態を把握するため、病院で遺伝相談を行う医師による勉強会及び交流会を開催し、勉強会開始前と交流会終了後に質問紙調査を実施した。その結果、きょうだいは日常生活の中で遺伝の情報を得がたいことや、きょうだいが遺伝について語ることで、障害者に対して差別意識があると捉えられることへの恐れや罪悪感を持つことが明らかとなった。交流会では、きょうだいの立場の者同士で遺伝について語る意義が示された。きょうだいの立場の者同士で専門医から情報を得ることができる環境があれば、きょうだいは安心感の中で情報を得たり、体験や思いの共有を行うことができる可能性が示唆された。今回と同様の勉強会が、今後も継続的に開催されることが望まれた。