2018 年 43 巻 p. 63-79
一人暮らしの高齢者が増加する中、新たな選択肢として高齢者シェア居住が登場している。しかし、家族以外の他者との自立と共生の住まい方におけるケアの実態は明らかではない。本稿では居住者相互のケアに注目し、高齢者シェア居住9 カ所14人から聞き取った事例をもとに、その特徴と課題について検討する。居住者相互のケアは、①居住者自身の身体的ケア資源の限界、②自尊心とプライバシーへの配慮、③心理的負債を感じることによって、「できれば避けたい負担」ととらえられやすい。一方、これらの要素はシェア居住に次のような利点をもたらす。①外部のケアとのケアの協働から利益を得やすい、②ケアの受け手の自尊心とプライバシーに配慮したケアが生み出される、 ③自立した生活が促され、居住コストが抑えられる可能性がある。高齢者シェア居住におけるケアの今後の課題は、居住者以外の関係者や次世代も含めた全体的な互恵関係の形成である。