2019 年 44 巻 p. 43-60
本研究はギャル系ファッションを好むギャルママのファッション行動は母親として規範的であるとみなせるにも関わらず母親集団の中では他者化されていることを明らかにした。母親の外見のイメージはファッションの選択肢が増えたことに伴って多様化していると推察される一方で、ギャルママは服装によって周縁化されるという状況が生じている。その要因として母親を読者に想定する雑誌のフォーマル・ファッション特集から判明したことは、母親の規範的なファッション行動は場へのふさわしさを意識しつつ個性を主張できる装いをすることだとわかった。しかし個性を発揮して目立つことが志向される一方で、ギャルママは外見において個性を忠実に表明しているがゆえにその周縁性を増大させている。このことから母親のファッションは多様化といっても、それは一定の範囲内で許容される現象であり、個性が志向される外見においても同調的であることの要請は大きいのだ。