家族研究年報
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シンポジウム報告
ポスト診断時代における認知症の社会学の課題
井口 高志
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2019 年 44 巻 p. 23-42

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抄録

    これまで主に介護問題の枠組みで捉えられてきた認知症の課題は、近年は、当事者活動などを中核にして、認知症の本人自身の生き方やまちづくりなどにも対象を広げつつある。本稿では、そうした認知症の課題の現代的転換が社会学的にいかなる意義を持つかを、以下の三つの作業を通じて示した。最初に、医療化という医療社会学の概念を補助線として、認知症という現象が社会的にどのように理解され、対応されるようになってきているのか整理した。第二に、認知症の捉えられ方の変化の中で生まれてくる現場のケア実践の特徴と、そこで直面せざるを得ない認知症の「進行」にまつわる課題を、筆者の行ってきた二つの経験的研究のラフな紹介を通じて示した。最後に、障害学(disability studies) の提起したインペアメントとディスアビリティ概念をめぐる議論を補助線に、事例を通じて示された現場での課題を理論的に整理し直すことで、認知症をめぐる社会学的課題を、特に家族問題研究に関わる範囲に焦点を当てて明確化した。

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© 2019 家族問題研究学会
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