家族研究年報
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シンポジウム報告
子育てと「家族の幸せ」― 社会学の立場から
柴田 悠
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2022 年 47 巻 p. 13-28

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抄録

    少なくとも社会学では、社会関係の潜在的機能や意図せざる結果を考慮に入れるので、家族関係のもたらす「幸福」だけでなく「不幸」にも着目する。その上で、「その不幸を公的支援によっていかに軽減できるか」という問題意識で研究することも多い。筆者も同様の問題意識で、「社会的に不利な家庭に生まれた子どもが、その不利によって成人後に被る不利(幸福感の相対的低さなど)、つまり『不利の親子間連鎖』を、公的支援によっていかに軽減できるか」を研究している。
    日本での先行研究によれば、「不利の親子間連鎖」の端緒は 0~2歳時点ですでに見られる。そこで本稿では0~2歳での保育・幼児教育」という公的支援に着目する。0~2歳時の保育・幼児教育が成人後に与える長期効果は、通園傾向スコアと共変量を揃えた上での「通園群」と「非通園群」のアウトカムの比較によって分析できる。本稿では、国内初となるその分析の試みについて紹介する。

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© 2022 家族問題研究学会
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