抄録
本講演では、家族政策が「家族の幸せ」に及ぼす影響を実証的に評価した経済学研究を概観する。育休制度は暗黙のうちに母親が取得するものと考えられがちであるが、近年は、父親の育休取得に注目が集まっている。父親の育休取得が本人のキャリア、家事・育児参加、子どもの発達、そして企業業績に及ぼす影響についての研究が見られるようになってきた。また、子どもが育つにつれて若い親たちは育児休業を終えて職場に復帰するが、その際に不可欠なのは保育所だ。近年の経済学研究では、保育所の利用が子どもの発達、さらには親の幸福度に影響を及ぼすことが明らかになってきている。