抄録
家族世帯は社会行為の場であるとともに、経済行動の単位でもある。それゆえ、経済活動の調査結果が家族社会学のデータとして有用となる場合がありうる。とくに自営業世帯が多かった時代においては、その可能性がとりわけ高い。本稿では、戦前の農林省によって行われた 1931(昭和6)-1941(昭和16)年の農家経済調査を取上げ、一橋大学経済研究所附属社会科学統計情報研究センターによってパネルデータベース化されたその個票資料はどのような特性をもつのか、どのような意味で家族世帯の研究に役立つのかを、データ特性から生じる利用上の注意等と併せ解説する。その上で、このミクロデータベースを利用した研究成果の一つをやや詳しく紹介する。それにもとづき、家族社会学者で今後の利用を考えている方々を念頭に、どのようなテーマがこのデータベースによって分析可能かにつき若干の私見を述べ、参考に供する。