家族研究年報
Online ISSN : 2189-0935
Print ISSN : 0289-7415
ISSN-L : 0289-7415
投稿論文
子どもの家事からみる性別役割分業意識の平等化の可能性
― 料理や掃除のしかたを教えることに着目して ―
戸髙 南帆
著者情報
ジャーナル フリー

2023 年 48 巻 p. 59-74

詳細
抄録

    本稿では、子どもに家事を教えることに着目して、性別役割分業意識を平等化する可能性を検討する。「子どもの生活と学びに関する親子調査」のペアデータを用いて、親子それぞれの性別役割分業意識をふまえながら、小学校高学年から中高生の子どもを対象に、母親が家事のしかたを教えるという行為の効果を探った。その結果、女子と比較して、男子は「男性は外で働き、女性は家庭を守るほうがよい」という性別役割分業を支持する傾向にあるものの、母親に家事を教えてもらった経験がある男子ほど、性別役割分業を支持しない傾向がみられた。この傾向は母親の性別役割分業意識などを考慮しても確認された一方で、女子については有意な効果が認められなかった。このことから、子どもが男子である場合、性別役割分業に沿わない家事という行為を教えること自体が、ジェンダー意識を問い直す契機となり、意識の平等化を促す効果をもっていることが示唆された。

著者関連情報
© 2023 家族問題研究学会
前の記事 次の記事
feedback
Top