地球科学
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古地磁気学からみた柵累層の火山地質
竹下 寿齋藤 豊百瀬 寛一
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1960 年 1960 巻 49 号 p. 26-36

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抄録

古地磁気学の基礎にたって,柵(しからみ)地域の火山地質はつぎのように要約される:1.主として火山噴出物からなる柵累層の堆積物は,向斜軸の両側において,一ようには堆積しなかったものと推定する.はじめ,向斜の西翼で火砕岩類は厚く堆積したが,つぎの段階では,東翼において火砕岩類の厚い堆積があった.そして第3の段階では熔岩や貫入岩,凝灰岩などをともなった粗粒の堆積物(柵累層の頂上礫岩)が,向斜軸の近くに発達した.2.火砕岩類のなかには,塊状熔岩がみとめられる(写真).3.柵階の堆積物を構成する物質は,少量のソレアイト岩系列と交錯したしそ輝石質岩系の火山活動に由来した火砕岩類によって特徴づけられている.火山作用はつぎの表のようにまとめられる.これは,中新世後期から鮮新世,あるいは,おそらく鮮新一洪積世にいたる古地磁気学的方向の変化にもとついてあらわされている.なお,古地磁気学的方向の変化の機構を説明するような原因,というような根本的な問題は未解決であるが,古地磁気学的な対比は,地質を論ずるばあいに有用な手段であると思う.

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© 1960 地学団体研究会
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