2001 年 55 巻 3 号 p. 131-143
大阪堆積盆地北部,神戸地域で行われた深層ボーリングコアから,約120万年前から現在までの沈降速度の変化や,中・上部更新統の垂直的な岩相変化,特に礫層の発達層準について検討した.その結果,神戸地域の沈降運動は,現在に向かってその速度を弱めながら,約120万年間を通じておおよそ0.7〜0.3m/kyrの範囲で継続して行われていることがわかった.また,大阪平野との比較によって,40数万年前以降の大阪堆積盆地北部の基盤ブロックでは,相対的に神戸側がより沈降する運動が行われていると推測される.一方で,礫層の発達は,基盤山地に近いコアで約60万年前以降,離れたコアでは約40数万年前以降に顕著にみられる.岩相の垂直的な変化は,六甲変動と呼ばれる50万年前以降の急激な地殻変動の変化というよりもむしろ,それ以前からの継続した造盆地運動及び隆起の蓄積による可能性が考えられる.