地球科学
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群馬県吾妻川流域に分布する浸食された火山の内部と基盤構造
中村 庄八
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2005 年 59 巻 1 号 p. 5-24

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抄録

群馬県北西部の吾妻川流域には,第四紀から新第三紀に活動した多数の火山が分布する.これらの火山は,中期更新世の古榛名火山・小野子火山,前期更新世の菅峰火山・王城火山,鮮新世の吾妻古火山および後期中新世の高田山古火山からなる.これら第四紀火山および新第三紀火山の地質調査から,火山は基盤高度の高いところで形成され,その活動中心域に放射状岩脈群,リング状配列を示す貫入岩体群・コーンシート状岩脈・小規模な深成岩体群などの多数の貫入岩体が分布することが明らかにされた.また,そこでは小断層や小褶曲などが発達し,地質構造を複雑にしている.筆者は,第四紀の火山と新第三紀の火山を相互に比較して火山体の構築を試みた.古榛名火山および小野子火山は円錐形の火山として復元されるものの,活動中心域おいて基盤高度が高いためにそれらの火山噴出物は薄い.菅峰火山および王城火山は,火山体を構成した火山噴出物の一部が失われ中心部には基盤岩類が露出する.吾妻古火山と高田山古火山は,基盤岩類を被覆していた火山岩類の多くが失われ,基盤岩類の間に僅かの火山岩類を残すのみとなる.したがって,これらの火山は火山体の内部構造を見せているものと推測される.

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© 2005 地学団体研究会
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