地球科学
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千葉県北東部における中・上部更新統 ―特に上岩橋層上部層の古地理・古環境―
下総台地研究グループ
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2005 年 59 巻 6 号 p. 357-370

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抄録

千葉県北東部の中・上部更新統について再検討した.この地域は古東京湾の東縁にあたり,外洋性の海盆から古東京湾への変化を探る上で重安である.本地城に分布する海成更新統は,下位から犬吠層群,八日市場層,上岩橋層上部層,木下層に区分される.八日市場層は一般に北西へ2.0〜3.5/1000で傾くが,分布東縁付近では犬吠層群と同傾斜(43/1000)となる.このことから犬吠層群・八日市場層の傾動は八日市場層堆積後と考えられ,この時期に鹿島-房総隆起帯の運動が活発化したことが示唆される.傾動する八日市場層をほぼ水平に切っておおう上岩橋層上部層の堆積期には,東西両側を陸域に画された内湾が形成した.この堆積物に含まれる有孔虫.珪藻,貝化石の分析を行った.その結果,この内湾は内部浅海帯の深さで,南北両側で外洋に開いて黒潮・親潮の影響があり,かつ陸域から多量の河川水が流入していたことがわかった.

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© 2005 地学団体研究会
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