地球科学
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赤坂石灰岩の微小二枚貝化石について : (附) Pernopecten新種の記載
中澤 圭二
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2007 年 61 巻 3 号 p. 187-201

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抄録

岐阜赤坂金生山の赤坂石灰岩は豊富なフズリナに加えて,大型の軟体動物や腕足類の化石を産することで有名であるが,数mmから10数mmの微小な巻貝や二枚貝も分離した個体として採集される.こちらの方はほとんど研究されていない.赤坂石灰岩上部層のYabeina石灰岩(Yabeina biomicrite)中に泥質薄層を含む25〜45cmの厚さの貝殻石灰岩(shell biomicrite)層が挟みこまれている.全般的に偏圧を受けているが,圧力は泥質層に集中し膨縮分岐する.膨らんだ部分は風化が進み土壌化する.微小化石はこの部分を繰り返し水洗,篩い分けして採集される.岐阜市の浅見化石会館に保管されている二枚貝化石を検討した結果,次の4種類が識別できた.Nuculopsis sp., Grammatodon (Cosmetodon)obsoletiformis (Hayasaka)の幼貝,Scaldia? sp.および"Vacunella" sp.である.顕微鏡観察の結果,Yabeina石灰岩は潮汐帯より深い潟に形成され,貝殻石灰岩はより浅い海からおそらく暴風による泥流として潟に流入して形成されたものと判断される.二枚貝の中ではNuculopsisが圧倒的に多いが,大部分は合弁の状態で産し,生きた状態で運搬され急速に埋積されたことを示している.なお,従来報告された赤坂石灰岩の二枚貝の再検討も行ったが,未定種も含めて17種になり,新たにPernopecten terukoaeという新種を記載した.

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© 2007 地学団体研究会
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