地球科学
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北海道登別市札内台地に分布するクッタラ火山火砕堆積物中の古土壌
河内 邦夫高橋 宣之保井 聖一藤崎 浩孝武藤 章朝日 秀定
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2013 年 67 巻 5 号 p. 169-180

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抄録

北海道西南部登別市札内台地に分布するクッタラ火山火砕堆積物の3層準にトドマツ,エゾマツ,アカエゾマツ,グイマツといったタイガに生育するマツ科の炭化樹木が埋没し,登別化石林と命名されている.また,化石林直下にはその生育基盤になった古土壌(チョコ帯)が分布する.今回新に第4番目の古土壌が見つかった.筆者らはその地域のテフラKt-1及びKt-6層の直下位に分布する古土壌を層序学的に追跡した.また,露頭の数カ所でトレンチを掘削し,土壌試料の採取と露頭での古土壌の詳細な観察を行った.その結果,4層準にある古土壌のうち,上から第1番目と第3番目の古土壌は調査域で連続的に分布している.第2番目と第4番目の古土壌は分布が局部的である.古土壌を被覆するテフラKt-1,Kt-6層の下部に限って化石樹木が産出し,化石樹根がチョコ帯に根を延ばして,このチョコ帯が古土壌であることを示している.古土壌はA,B,C層位あるいはB,C層位からなる土壌層位を形成する.また,土壌層位の構成はA,B,C層位とB,C層位とが交互に水平方向に漸移している.古土壌は,火砕堆積物に埋没後,ダイアジェネシスにより,古土壌の初期性状が大幅に改変されている.調査地域では古土壌にポドゾル性土壌が想定されたが,ポドゾル性土の特徴とされる漂白層,集積層の明確なものは識別されなかった.

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© 2013 地学団体研究会
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