地球科学
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原著論文
関東平野西縁地域のテフラ層序と後期鮮新世以降の変動
正田 浩司関東平野西縁丘陵団体研究グループ
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2018 年 72 巻 1 号 p. 59-72

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抄録

関東平野西縁地域の諸丘陵やその間を流れる河川の河床には後期鮮新世以降の地層が分布する.飯能層中の矢颪テフラ層(YAO),狭山層中に挟在する狭山ガラス質テフラ層(SYG),狭山ゴマシオテフラ層(SGO),仏子層中に挟在する笹井ガラス質テフラ層(SSI)を記載した.広域対比について検討したところ,SYG は新潟地方に分布する約1.7 Ma の津池火山灰単層(TsA)に対比できる.SYG の約20 m 上位にあるSGO は仏子層中のE1,多摩丘陵のHU1 に対比できる.E1 の直下に見いだしたガラス質テフラSSI は約1.65 Ma を示す多摩丘陵のHU2,房総半島黄和田層中のKd25 に対比できる.

関東平野西縁地域のテフラ層序の詳細な記載と,各々の地層の堆積年代と走向・傾斜を比較し,関東平野西縁地域の地殻変動について検討した.その結果,後期鮮新世以降,関東山地の隆起は現在も継続しており,特に2.6~2.5 Ma 頃には急激な隆起が発生したため関東平野西縁丘陵を構成する多量の堆積物が関東山地から供給されたと見なされる.

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© 2018 地学団体研究会
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