東アジアへの視点
Online ISSN : 1348-091X
クリエイティブ産業・クリエイティブ職業の地域分布の動向
朝田 康禎
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2015 年 26 巻 1 号 p. 15-24

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抄録

2000 年代に入って,都市と経済を巡る新たな方向性として注目されるようになったキーワードにクリエイティブ産業(創造産業)と創造都市がある。両者は密接に関係しながら,世界に影響を広め,クリエイティブ産業の発展が大いに期待されるようになった。日本でも2000 年代末頃から都市別のクリエイティブ産業の規模が計測されるようになってきたが,どのような指標・定義でそれを計るのかということについて曖昧なまま調査されてきたのが実情である。特に芸術・文化関係の産業については,日本の既存統計で正確に数値を把握することができない。そこで,本稿では産業統計の代わりに職業統計を用いることによって,クリエイティブ産業の現状を把握することを試みた。その結果,2000 年代後半,首都圏を中心とする大都市への特化傾向の強い業種が成長しており,クリエイティブ産業の成長は都市圏と地方圏で経済格差を拡大させる恐れがあることが明らかとなった。

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© 2015 公益財団法人 アジア成長研究所
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