東アジアへの視点
Online ISSN : 1348-091X
少子高齢化における世帯数の変化とエネルギー消費 -九州8 都市の分析-
今井 健一
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2016 年 27 巻 1 号 p. 21-30

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抄録
本稿では,少子高齢化がエネルギー消費,特に電力,都市ガス,プロパンガス,灯油といった家庭用エネルギーの消費にどのような影響をもたらすかについて分析した。北九州市と県庁所在都市を含む九州8 都市のデータに基づく分析結果は,少子高齢化の下で世帯数が増加している結果,「1世帯当たりの構成人員」が減り,家庭用エネルギー消費における規模の経済が失われつつあること,すなわち,「1 世帯当たりの構成人員」が減少している結果,「世帯構成人員1 人当たりの家庭用エネルギー消費量」が増えているということがわかった。この結果は,家庭用エネルギーの効率的な利用という点において好ましくない。今後,少子高齢化がさらに進んだ場合,家庭用エネルギー消費における規模の経済がさらに失われていく可能性がある。世帯内だけでなく,世帯間,あるいは複数の世帯から成るコミュニティ内でエネルギーを共有していくという視点が必要となってくる。
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© 2016 公益財団法人 アジア成長研究所
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