農業気象
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果樹の風害と枝葉の物理的性質について
飯塚 一郎
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1958 年 14 巻 1 号 p. 27-30

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抄録
1) 果樹の新梢の弾性率は柿が最も強く, 次いで梨, 伊予柑, 桃, 華果, 無花果の順である。各種とも枝の基部より頂部に行く程弾性率が弱くなつている。
2) 葉柄の附着部の強さは引張る方向によつて異り大体基部方向が最も弱く切線, 放射状方向, 頂部方向へと強くなつている。新梢各部の強さは中部が基部又は頂部より強い。無花果が最も強く桃, 苹果は弱い。この強さはその形, 面積, 葉柄と枝との角度及び同部の維管束の配置に関係している。
3) 葉柄の曲げの強さは曲げて折れる角度で表し, 無花果が最も大きく柿が最も小さい。又これは靱皮繊維の引張力にも関係するが, 木質部の周囲の位置にも関係している。
4) 葉身の引張りの強さは伊予柑, 無花果が強く, 桃, 苹果は弱い。
5) 強風に対する葉の抵抗は葉面積の大なるものと葉柄の細くて長いものが大きい。大きな葉は振動による風圧を軽減するため内側に巻き込んだ。その結果軽い葉ずれを生じ, 又桃は葉の先端が切断した。
6) 果樹の葉の風害は新梢の振動によつて風上へ枝が戻る時と葉が風に押される時と一致し, 又風向が葉柄を基部方向へ引張る方向になつた時に著しく現れる。
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© 日本農業気象学会
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