農業気象
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冬期栽培用としての縦穴の性能について
主として穴の温度性格
鈴木 清太郎
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1967 年 23 巻 1 号 p. 1-5

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抄録
深さ1m近い縦穴 (水平断面積72×53cm2, 東西に長い土穴) を関東ロームの地中に堀つて, 日中は厚硝子板で, 夜間は更に厚い発泡ポリスチロール板でカバーし, その内で冬期5℃までは耐えうる植物を人工保温の煩をはぶき栽培しうる成果をえた。穴中の気塊は夜間温湿度の点で上下2層よく混合されている。しかし日中は日射のためか上層高温である。穴温には年変化と日変化があり, 前者は穴を囲む周囲の地温に大きく支配され, 冬は寒冷で夏は暑い。後者は主として日射に原因する。穴中は一年を通じて6, 7月の梅雨期は僅少ながら低温で, そのほかの月は高温である。すなわち4月末から7月まで (晩春から初夏) は穴内外の温度は非常に接近するが秋から冬は穴は非常に暖かで外が零下11℃になつても穴は6℃に止まる。照度は冬至の低い高度の太陽でも光の一部を穴の上部に送るので, それが反射して一部同化作用を助ける。湿度は飽和に近い状態にあつて, 一日数時間は高湿度であり。残りの時間は飽和状態に近い。
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