日本エイズ学会誌
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HIV感染者の末梢血T細胞サブセット解析
造血器腫瘍との比較
内海 英貴秋葉 徹須藤 美和田村 遵一成清 卓二沢村 守夫
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1999 年 1 巻 3 号 p. 70-78

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抄録
【目的, 方法】日和見感染を合併しやすいHIV感染症17例と造血器腫瘍の多発性骨髄腫 (MM) 10例, 悪性リンパ腫 (ML) 9例を対象とし, 末梢血CD4陽性リンパ球サブセットをCD8, CD45RA, CD45RO, CD25, HLA-DRとの二重染色により比較した. 一部のHIV症例では治療の前後や経過中のサブセットの変化も検討した.
【結果, 考察】HIV感染者ではmemoryとnaive CD4細胞の数は比較的保たれていた. 一方, MM・ML症例ではCD4細胞が比較的保たれている症例でも, naive CD4細胞が明らかに少ない傾向にあった. MM・ML症例ではCD4とCD8リンパ球数の正の相関が認められた. 両者の日和見感染の発症の違いの一つの要因として, リンパ球サブセットの違いが関与している可能性が示唆された. HIV症例で短期間の経過中にCD4の増減がみられた場合, その多くはmemory CD4の増減に負うところが大と思われた. memory CD4とnaive CD4の経時的変化と日和見感染症の発症を前向きに検討する必要があると思われた.
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