日本エイズ学会誌
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保健所におけるHIV・エイズカウンセリング
心理職としての取り組み
浦尾 充子西村 明池上 宏石川 洋花澤 佳子金井 明美石川 雅子
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1999 年 1 巻 3 号 p. 64-69

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抄録
【緒言】千葉市保健所では, 平成5年から専門職の心理カウンセラーによるHIV・エイズカウンセリングを行っている. その内容は, 抗体検査前後のカウンセリング, 一般電話相談者へのカウンセリング, 感染者・家族等へのカウンセリング及び地域からの依頼に応じての予防啓発を目的とした心理教育である. 今回, 心理カウンセラーによるHIV・エイズカウンセリングの必要性と有効性について検討した.
【方法】平成9年12月から1年間に保健所で実施した, 抗体検査前後等のカウンセリング346件について, 相談内容の特徴を分析した. また面接調査により, 相談者の不安に対するカウンセリングの効果について検討した.
【結果】相談者の約20%の人がきわめて高い不安レベルにあった. また, 検査日のカウンセリングにより, 相談者の不安レベルは低下した.
【考察】保健所での専門職の心理カウンセラーによるカウンセリングは, 従来のエイズ対応と異なり, 以下のような有効性をもつことが明らかとなった. (1) 高いレベルの不安をもっ人たちの不安を軽減する. (2) 心理的問題を抱えている人やエイズノイローゼの人たちの受け皿の機能を果たす. (3) 不安がそれほど強くない人たちの行動変容を促す.
今後, エイズ相談の多い大都会やその周辺地域の保健所では, 専門職の心理カウンセラーをエイズカウンセラーとして配置した体制を整えることが望まれる.
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