抄録
目的: 静岡県東部保健所ではエイズ検査を実施しているが, 針刺し事故への対応が十分に整備されていなかった. 増加するエイズ検査への保健所職員針刺し事故に対し, 2005年度より協力医療機関としてスムーズな診療・処置が行えるよう体制を整えた.
方法: 沼津市立病院と保健所との間で, 事故発生時から当院での受付・受診・検査・診察・治療及び費用にかかるまでの詳細を検討しマニュアル作成を行った. また, 来院後スムーズな診療が行われるよう周知徹底すると共に, マニュアルを院内各オーダーパソコン端末へと組み込んだ.
結果: 保健所では週1回昼間の検査及び月1回の夜間検査を実施しているが, 現在まで針刺し事故は発生していない. しかし, 保健所でのエイズ検査受検者数が増加している傾向から, 針刺し事故が発生するリスクも同時に高まっていると言える.
発生前からこのような連携体制が整備されていることで, 落ち着いた対応が可能と考える. また, 静岡県よりエイズ予防薬配置機関として指定され, 針刺し事故用の薬剤が配置されており, 早期に予防内服ができる体制も大きな要因である.
結論: 増加する保健所でのエイズ検査へと支援体制ができたことで, 迅速な対応が可能となり, 保健所職員の不安を軽減できている.