日本エイズ学会誌
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男性同性愛者のHIV/エイズについての知識・性行動と社会・文化的要因に関する研究 (第一報)
性的空間利用, エイズへの関心, HIV感染者との交流の観点から
風間 孝河口 和也菅原 智雄市川 誠一木原 正博
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2000 年 2 巻 1 号 p. 13-21

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抄録

目的: HIV感染が増加している男性同性愛者のHIVについての知識と性行動を明らかにすることを目的とした。
対象と方法: 東京でのエイズ予防啓発イベントおよびサークル参加者 (301人) に質問票調査を実施し、有効回答数255 (84.7%) を得た。
結果: 性的空間利用者 (84人) のアナルインターコース経験率は40.5%で、性的空間非利用者 (151人) の19.2%に比して有意 (p<0.05) に高かったが、 コンドーム使用には差がなかった。また、性的空間利用者でコンドームを常時携帯する割合 (22.6%) は有意 (p<0.05) に高いものの、コンドーム使用の意思を相手に必ず伝えられる割合は有意 (p<0 .05) に低かった。エイズへの関心について能動的関心層 (193人)、受動的関心層 (21人)、無関心層 (25人) を比較したところ、インターコースの経験率 (各、32.1%、9.5%、12.0%) は能動的関心層が高い傾向にあったが、コンドーム使用では差がなかった。HIV感染者との交流群 (60人) は感染者との非交流群 (185人) に比べて一般知識の正答率が高かった。また、感染者との交流群は、インターコースの経験率 (45.0%) およびその際のコンドームの使用割合 (77.8%) がともに有意 (p<0.05) に高かった。
結論: コミュニケーション重視型の啓発と、HIV感染者を孤立させない社会環境をつくる重要性が示唆された。

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