日本エイズ学会誌
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HIV/AIDS医療費に関する研究
AZT, ddIの占める費用割合
市川 誠一木村 哲大屋 日登美木村 博和岡 慎一伊藤 章増田 剛太花房 秀次相楽 裕子橋本 修二鎌倉 光宏中村 好一木原 正博
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キーワード: 抗HIV薬, HIV/AIDS治療費
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2000 年 2 巻 1 号 p. 22-29

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抄録

目的: HIV感染者およびAIDS患者をCD4陽性細胞数で病態別に分類し、外来および入院医療費を血友病、非血友病別に分析した。
対象および方法: CD4陽性細胞数が500以上をAC-1群 (28人)、同200~500未満をAC-2群 (45人) および同200未満をAC-3群 (34人)、AIDS群 (46人) に分類し、外来および入院医療費を月ごとのレセプトを回収して分析した。医療費は患者ごとに治療項目別に集計し、外来あるいは入院の実日数で平均化して、各病態群別の1日当たりの平均医療費を求めた。抗HIV薬を受けていた患者については、AZT、ddIの医療費を求め、医療費総額に占める抗HIV薬費用の割合を求めた。
結果: 非血友病ケースの月当たりの外来医療費は、抗HIV薬掲載無しのAC-1群に比べて、抗HIV薬掲載のAC-2群、AC-3群の医療費は各々2.5倍、3.5倍であった。抗HIV薬の費用割合は総医療費の60%以上を占めていた。同様の傾向が血友病ケースにも見られ、抗HIV薬の費用割合は在宅医療費を除く医療費の40-60%を占めていた。抗HIV薬を使用した場合の生涯医療費は非血友病ケースでおよそ1,344万円と推定された。
結論: 外来医療費は病態の進展とともに増大し、特に、抗HIV薬の使用によって高額になっていた。

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