日本エイズ学会誌
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血液製剤によるHIV感染者のCD4値, HIV-RNA量と抗HIV治療の現状
橋本 修二山口 拓洋岡 慎一吉崎 和幸木村 哲福武 勝幸白阪 琢磨
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2001 年 3 巻 1 号 p. 16-22

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抄録
目的: 血液製剤によるHIV感染者におけるCD4値とHIV-RNA量, 抗HIV治療, および, 服薬と副作用の状況を明らかにすることを目的とした.
対象及び方法: 「エイズ発症予防に資するための血液製剤によるHIV感染者の調査研究事業」に提出された資料に基づいて, 平成11年1-3月の事業対象者658人について, CD4値, HIV-RNA量, 抗HIV薬の投与・服用状況, 副作用, カリニ予防薬と眼底検査の状況を分析した.
結果: CD4値350/μl以上が52%, HIV-RNA量999コピー/ml以下が61%であった. 「RTI2剤+PI1剤」の投与が39%, 抗HIV薬の投与なしが32%であった.CD4値349以下の者は350以上の者に比べて, また, HIV-RNA量999以下の者は1,000以上の者に比べて「RTI2剤+PI1剤」の割合が大きかったが, 「投与なし」や「RTI2剤」もかなり見られた.抗HIV薬の服用状況としては「全部服用」85%であり, 副作用としては下痢14%などであった.「RTI2剤+PI1剤」は他の併用区分と比べて, 服用状況が悪い傾向は見られなかったが, 副作用として下痢が多かった.CD4値199以下の者は200以上の者に比べて, ST合剤の投与が多かったが, その割合はあまり高くなかった.
結論: CD4値とHIV-RNA量は比較的管理されているが, AIDSと合併症の発病予防に向けてさらに改善の余地の可能性が示唆された.
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