日本エイズ学会誌
Online ISSN : 1884-2763
Print ISSN : 1344-9478
ISSN-L : 1344-9478
HIVの輸血感染を撲滅するための試みとしての, 血液センターにおけるHIV検査サービス
霜山 龍志田中 聖子金子 千浪加藤 俊明池田 久實
著者情報
ジャーナル フリー

2002 年 4 巻 1 号 p. 37-42

詳細
抄録
目的: われわれは現今の輸血によるHIV感染防止対策を評価した上で, HIV感染危険者が検査結果を求めて献血することを防止するため, そうした人達に検査サービスを提供することで献血を回避する方策を試みた.
方法: 現今のHIV感染防止対策はHIV関連問診 (14番) と自己申告からなるが, その陽性回答者数と率の年次推移を調査し, あわせて自己申告者のHIV陽性率を検討した. また札幌の大通り献血ルームにおいて2000年4月から2001年3月まで, インフォームドコンセントの過程で, HIV検査希望でかっHIV感染危険と判断された献血者に, HIV-PCRとHIV抗体検査を行い, 陽性のときのみ呼び出し告知することとした.
結果: 1988年以降HIV関連問診回答者や自己申告者は漸増する傾向にあったが, 後者からHIV陽性者は検出できなかった. 大通りルームにおける42,929人の献血希望者中338人が当初HIV検査希望だったが, 問診の結果88人がHIV感染危険と判断され, うち79人が血液センターにおける実名検査を希望した. そのうちからHIV陽性者は発見されず, 期間中の献血者, 自己申告者からもHIV陽性者は検出されなかった.
結論: 血液センターにおけるHIV検査サービスは可能と考えられたが, 母集団が少なく札幌市のHIV陽性率が低いためそのHIVウィンドウ感染防止に対する実効性を示すことはできなかった.
著者関連情報
© 日本エイズ学会
前の記事 次の記事
feedback
Top