日本エイズ学会誌
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中四国拠点病院に勤務する看護師対象のエイズ研修会の評価と今後の課題
河部 康子大江 昌恵喜花 伸子高田 昇山口 扶弥藤井 宝恵尾形 明子藤井 輝久木村 昭郎
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2007 年 9 巻 1 号 p. 47-53

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抄録
目的: 拠点病院の看護師を対象としたエイズ研修会の評価を行い, 今後より効果的な教育・研修プログラムを構築していくための課題を明らかにする。
対象および方法: 2003年1月から2004年7月に開かれた4回の研修会の参加者41名を対象に, 研修会参加前・終了直後・終了半年後の3時点でのアンケートを実施し, 分析した。
結果: アンケートの回収率は研修会参加前・終了直後で100%, 終了半年後では88%であった。同答者はプログラム全体及び各内容に高く評価し, 参加者のニーズを満たすプログラム構成であったと考えられた。HIV/AIDS患者に接することへの不安に関しては「性的な問題に触れること」が研修会参加前よりも終了直後に増加した。この結果から, 研修により知識を得たことで改めてセクシャリティーについての認識を深めたことや, HIV看護の現場では性の話題を取り上げる必要性を認識したことが考えられた。HIV/AIDS患者に接することへの不安は他の殆どの項目で終了直後には減少したものの, 半年以降経過すると僅かに増加する傾向が見られた。
結論: 患者数が少ない地方の拠点病院ではHIV/AIDSの情報が少なく看護の経験も乏しい。それに対し当研修会は看護師に必要な情報を提供し, 参加型のアプローチを行ったことでHIV看護への不安を軽減することが示唆された。今後の課題として研修後のフォローと継続的な情報交換や交流などを目的に, 地域の看護ネットワークを立ち上げることが重要と考えられた。
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