抄録
本研究では,動画像符号化におけるモード選択に適用するコスト評価手法について検討する.MPEGなどの複数の予測モードを用いる標準動画像符号化方式において,符号化効率向上のためにいくつかの候補の中から最適なモードを選択することが重要である.実際の符号化歪みDと発生符号量Rからコストを見積もるレート歪み最適化手法がある.本手法は,符号化効率を最大化するモードを選択可能であるが,DとRの算出に要する符号化処理が計算負荷の増大をもたらす.本研究では,ゼロブロック判定を利用した近似モデルによるRとDの推定を用いてレート歪み最適化手法を高速化する手法を提案する.提案手法をH.264参照ソフトウェアに実装し,有効性を示す.