抄録
本稿では,遠隔情報支援システムでの利用を目的とした,低ビットレート向きの画像データ圧縮方式を提案する.遠隔情報支援システムとは,主に無線通信を介して画像情報を遠隔地へ伝送し,電動車いす利用者や患者搬送救急車の活動を補助する事を目的とした技術である[1,2].帯域幅が狭く,不安定な無線を通信路の一部として利用するため,画像データを送受信する際には,非常に低いビットレートで圧縮をする必要がある.しかし,従来手法では色情報の欠落や,輪郭のボケが生じてしまい,遠隔支援に適した画質を得ることが難しかった.そこで本研究では,輪郭情報の再現性に優れた圧縮方式であるBTC (Block Truncation Coding)方式[4]をベースに,色の分離性を高めた色空間変換と,BTC処理によって生じるブロックノイズを効果的に低減する画質補正フィルタを考案し,それらを適切に組み合わせることで,低ビットレートでの高画質化を実現する技術を提案する.