抄録
現在、油絵の具をディジタルペイントツール上で再現した研究は少ない.従来研究では絵の具の厚塗りを再現したものがあるが,厳密に油絵の具の再現を目指したものではなく,またセルオートマトンによる簡単なモデルを適用しているため絵の具の移流が現実とは異なる.そこで本稿では,油絵の具の流体としての振る舞いを考慮し流体力学として格子ボルツマン法を利用することでより現実的な質感を再現しうる油絵の具の粘性モデルを提案する.提案モデルでは油の量による形状の違い,時間経過による形状の変化を再現できた.これにより,ディジタルペイントツールでの油絵の具のストロークがより改善されると考えられる.