主催: 一般社団法人画像電子学会
会議名: 2017年度第45回画像電子学会年次大会予稿集
回次: 45
開催地: 一橋大学 一橋講堂
開催日: 2017/06/23 - 2017/06/24
近年,高齢化の影響により要介護者認定数の増加および介護者の人手不足が深刻化している. 食事介助に限定すると, 介護者の人数が要介護者の人数に対して不足していることから,食事介助を待機している要介護者が存在する. そのため, この問題を解消できる食事介助ロボットの実現が望まれている. 本論文では, 画像処理で得られた情報から要介助者の口中に食べ物が存在するか否かを判断し,咀嚼動作が終わったら,ロボットアームを動かし要介護者の口元まで安全に食べ物を運ぶ食事介助ロボットを提案する. 提案手法は, 要介助者の口中の食べ物の有無の判断部およびロボットアームの制御部により構成される. 判断部では,顔や関節などの特徴量を取得できるKinect v2を用いて食事中の被験者を撮影する. 得られた特徴量から口の開き具合,姿勢角等を算出し, 要介助者が食事を開始できると判断したら,アームを動かし被験者の口元まで食べ物を運ぶ. その後,咀嚼動作の有無を検出し, 動きが無い場合には食べ物が口中に無いと判断し,アームで次の食べ物を口に運ぶ。 ロボットアームの制御では, 判断部で得られた口元の座標を元にロボットアームを回転させ, その後, 各リンクの角度を逆運動学によって求める. 求めた各角度をシリアル通信によってロボットアームを制御しているマイコン側へ送ることでロボットアームの先についているスプーンを口元まで運ぶよう制御する. 実験では, 上記のアルゴリズムによる食事介助ロボットを用いて口元へ食べ物を繰り返して運ぶ. 実験終了後, 被験者にアンケートを取り, 集計結果から安全性の評価を行う.その結果、被験者からは本システムの有効性を示す意見が得られた。