抄録
総務省の調査によれば,ソーシャルメディアの利用率は,東日本大震災の翌年の2012(平成24)年が20.3%であったが,2019(令和元)年には86.9%と急増している.平成 28 年熊本地震や大阪府北部地震のような災害発生時には,SNSで安否確認や避難状況の報告といった情報共有が行われていた.電話やメールなどが利用できない状況であってもSNSは利用できたケースがあり,テレビ・ラジオと並ぶ非常時の情報手段として,SNSの存在感が高まっている.不特定多数の人との情報共有が可能な TwitterやFacebookなどでは,発災直後に投稿数が膨大になる.実際に,熊本地震では地震発生から1週間で約2,610万件の地震関連のツイートが確認された.そのような膨大の情報が流通する状況下において,被災者一人ひとりに対して有益な情報を短時間で提供することは困難である.このような背景をもとに,本研究では,災害時にTwitter上に投稿されたツイートから災害関連ツイートを抽出し,現地の情報を必要としている被災者等のその後の行動の意思決定を支援することを目的とする.