抄録
近年,360度画像を利用した不動産広告を提供するサービスが増えている.物件広告に360 度画像を使うことでユーザは撮影された物件内の自由な方向を見られるため,実際の内見に近い体験がブラウザ上ででき る.コロナ禍においてはリモートでの物件紹介が求められており,360度画像を使った広告は単なる広告写 真以上のメリットをユーザにもたらしている.一方,広告を用意する不動産エージェントからすると,これまで通りの従来型カメラでの広告撮影に加えて,360度カメラでの撮影も必要になり撮影の手間が2倍近くになる問題があった.そこで本研究では,360度画像から広告にふさわしい透視投影画像を自動で切り出すことで,従来のカメラでの広告撮影を代替することを目指した.不動産広告画像に求められる条件を定め,撮影された360度画像に映る屋内シーンの解析などを通し,従来のカメラで撮影したのと同等の画像を切り出すアルゴリズムを提案する.