日本建築学会計画系論文集
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タイ・パタニの旧華人居住地のショップハウスの空間構成と変容
オンサワンチャイ ナウィット布野 修司
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2005 年 70 巻 598 号 p. 1-9

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抄録

本稿はタイにおけるショップハウスの成立と変容に関する一連の研究の一環である。これまで、バンコクのラッタナコシン地区におけるショップハウスの導入とその変容過程、また類型について全容を明らかにしてきた。バンコクのショップハウスはシンガポールのモデルを導入したのであるが、タイには他にいくつかの類型が存在する。そのひとつが華人(チャイニーズ)が直接移入したケースである。古くからの港町であるパタニを調査対象としたのは別の類型を明らかにする目的からである。パタニについて旧華人地区をターゲットとして臨地調査を行い、83軒についてデータを得ることができた。それをもとにショップハウスの類型とその変容過程について考察したのが本稿である。ファサードの意匠について、中華風、西洋風、タイ風と三つに分かれるが、平面形式はそれとは無関係にほぼ規模に従って三つに類型化される。そして、その形式はバンコクのケースと全く異なり、細長い敷地をとる例えばマラッカのものに近い。そして、増改築のパターンもバンコクのものとは異なっている。本稿に続いて、タイの運河沿いの市場町に即してもうひとつのショップハウスの類型を明らかにしたい。

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© 2005 日本建築学会
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