抄録
論文報告集128号(41年月10号)には, 高力ボルト摩擦接合梁継手の繰返し曲げ荷重試験についてその詳細を述べたが, 今回はその後行なった同様な梁継手に関する2種類の異なった載荷状態における実験結果について報告する。実験Iは, H型鋼の梁継手に剪断型の繰返し荷重を加えた試験についてである。実験IIは, 組立I型梁継手に曲げと剪断が同時に作用する一般の応力状態における, 繰返し荷重時の弾塑性性状に関するものである。実験IはH-294×200×8×12を用い, 高力ボルトはJIS規格2種BW 5/8φとし, 試験体はボルト本数を変えた2個と無継手のもの1個計3個について行なった。実験IIはプレートの組立によるI-300×150×6×9を用い, 高力ボルトはJIS規格3種BW 3/4φとし, 試験体はボルト本数を変えた2個と無継手のもの1個計3個について行なった。梁長は何れも4.800mで, 荷重は正負両方向の繰返しとし, 測定は梁の撓みとボルト軸力の変化に主力を注いだ。なお実験IIでは剪断力を同時に作用させるため接合部を最大曲げモーメント位置から若干ずらしたので, 試験体における接合部曲げ応力はやや低応力の状態となっている。