日本建築学会論文報告集
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剛節トラス (弦材 : T形鋼, 腹材 : 鋼管) の耐力実験 : 偏心剛節点 : その 4・弾塑性性状
山田 孝一郎
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1971 年 183 巻 p. 57-63,93

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抄録

既論では, 剛節トラス(弦材 : T形鋼, 腹材 : 鋼管)のなかでその節点構成の最も簡単な偏心節点をもつ剛節トラス(図-1)について, その上弦材中央節点部載荷時における耐力と剛性とに関する実験を行ない, この結果をトラスの二次応力をも考慮した剛節トラスの弾塑性解析法(トラスとしての特殊性を考慮したある仮定にもとずく塑性ヒンジ理論)と対比したところ, 弾性域から弾塑性域をへて破壊荷重にいたるまでの性状は, この理論解析方法で比較的よく説明しえられることが知られた。本文は, 既論につづくもので, 既論と同様な偏心剛節トラス(図-1)について, その上弦材に中間荷重が作用する場合における耐力と剛性とに関する実験的研究を行ない, これらの結果を, トラスとしての特殊性(トラスでは一次応力は軸力であり, 曲げは二次応力)を考慮した既論と同様な仮定, すなわち, 仮定1 : 部材の応力度一歪度関係を完全弾塑性の二直線とする。仮定2 : 部材の降伏曲線を求めるに当り, 軸力と曲げのみを考慮し, せん断の影響は無視する。仮定3 : 部材において塑性ヒンジの形成個所以外は弾性とし, かつ部材の変形にともなう軸力による付加曲げモーメントの影響は無視する。仮定4 : トラスの荷重が増大している場合, ある荷重(P)のもとである部材の一部分に塑性ヒンジが形成されるとき, その荷重以上の増分荷重(⊿P)に対して, すでに形成されている塑性ヒンジは, その増分荷重に対応する軸力の増分(⊿N)によりその部材の降伏曲線を満足するようその負担曲げモーメントが変化(⊿M)する塑性ヒンジとする。仮定5 : トラスの荷重が増大している場合, ある荷重(P)のもとである部材が引張軸力N(圧縮軸力)と曲げモーメントMにより全長にわたり降伏するとき, その荷重以上の増分荷重(⊿P)に対して, この部材は, その全断面積(A)のなかで圧縮応力度(引張応力度)のみが作用している断面積(⊿A)のみが増分引張軸力⊿N(増分圧縮軸力)に対して弾性として作用し, その部材の両端に仮定4を満足するような塑性ヒンジをもつ部材とする。を用いた弾塑性解析と対比し, 図-1のごとき荷重状態における偏心剛節トラスの弾塑性性状を究明するとともに上記剛節トラスの弾塑性解析法の妥当性をも検討したものである。

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© 1971 一般社団法人日本建築学会
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