日本建築学会論文報告集
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中心地区空間におけるイメージの構造 (その 3) : 業種イメージの属性別研究
志水 英樹福井 通
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1976 年 244 巻 p. 51-61

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抄録
第2章における相互相関の低い部分は, 特定の業種のイメージ量が, 属性によって大きな差異を示すことによることが明らかにされた。即ち各属性に対して強い業種, 弱い業種が存在し, 特に, 男女別, 既未婚別の分類に対してその特長が顕著に現われた。本研究(その1-第229号)において, 地区のイメージエレメントの有する物理的諸属性を説明変数とする重回帰分析が行われ, ケビンリンチが提唱するイメージアビリティの3つの側面のうち, "アイデンティティ"と"ストラクチュアー"の側面をある程度とらえ得た。(その2-第236号)において, 第3の側面"ミーニング"と関連する一つの要因をして業種別イメージ量を測定し, 相関係数を高めることが出来た。本論文(その3)において, この業種別イメージ量が, 被験者の属性によって最も敏感に反応する要因であることと, それがどのように変化するかが明らかにされた。これらの結果は, 中心地区の開発計画や再開発計画の過程で, 特に来街者の属性に敏感に対応した計画方法を必要とする場合, 特に有効であろう。又, 地区の規模が拡大し成熟するに伴って, その空間はより多様化し多元化するであろう。中心地区の多様化, 多元化とは, より多くの階層に分割された来街者のサブグループに対応した, 空間のサブシステムを分化形成することであるとすれば, このための業種編成にとって特に有効であろう。特定の属性に対して, より強力なサブエリアを形成するためには, その属性に対してプラスに働く業種を整備拡充することが最も基本的であることはいうまでもないが, それと同時に, あるいはそれ以上に, マイナスに働くは業種に対する対策であろう。そのような業種の除去に至らないにしても, 少くとも, そのエリアにおける<地>としての連続性をそこなわないための配置計画や店舗設計上多くの配慮すべき点があるであろう。
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© 1976 一般社団法人日本建築学会
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