日本建築学会論文報告集
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地盤・構造物の地震動による加害性の推定 : 名古屋における Seismic Microzoning
多賀 直恒安東 直宮崎 正
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1978 年 272 巻 p. 63-73

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抄録
本報告は, 都市防災計画の一資料を提供する目的と併せて既往の耐震工学上の知見を総合的に概観し総括する一つのアプローチを示す為に, 地震動特性・地盤構成条件・構造物の特性の関連に於いて, 地震動災害を求め, 地域的分布を評価した。推定の方法は, 問題の複雑さや, 現象の不明確さ等の為に, 多くの問題点を含むが, 一応全体の系として, 考慮すべき事項を網羅し, その上で予測解析系全体を設定した。解析結果の地盤・構造物の各種被害性状を, 数値・棒グラフ, 又は, Zoning Mapの形で地域的分布を求め, 地震動災害に及ぼす, 地震動特性・地盤構成条件の問題を, 或る程度, 定量的に示した。得られた結果を要約すると1)地震動特性・地盤構造条件・構造物の構造特性を考慮した地震応答の推定に関する1アプローチを示した。2)地震時地表面加速度は, 特に表層地盤の構成と物性に関係するが, 弾性挙動は中でも沖積層厚さに依存する。3)木造構造物の被害地域は, 沖積平地で著しく, 洪積台地等, 地盤条件の硬い所では殆んど皆無である。これは, 近地・遠地の地震動特性に若干の地域的差が生じる程度である。4)同一siteでの近地・遠地地震による被海の模様は, 遠地地震が, 長い周期の方で大きい値を示す。5)被害率と沖積層厚さの関係は, 余り明確ではないが, Damage Potentialとの相関から, 地盤と構造物の周期特性の一致する所で被害程度が大きいようである。6)過去の被害地震との比較対応は, 一方は全体被害であるのに対し, 他方は振動のみによるものであるので, 直接は比較出来ないが, 大略の傾向, オーダーは対応していると考えられる。
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© 1978 一般社団法人日本建築学会
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