日本建築学会論文報告集
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2 次元角柱の風上面に作用する風圧変動の特性の迎角による変化について
河井 宏允石崎 溌雄
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1981 年 304 巻 p. 51-59

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抄録
2次元正四角柱に作用する風圧変動に関する風洞実験から, 風上面に作用する風圧変動の特性の迎角による変化に関して, 次の諸点が明らかとなった。(1)角柱の停流点に作用する風圧変動のパワースペクトルは, 迎角の影響をほとんどうけない。(2)停流点以外の風上面の各点に作用する風圧変動のパワースペクトルは, 迎角が増大するにつれて, 停流点より風上側では変動のパワーが増大し, 風下側では変動のパワーが減少する。この傾向は特に低周波数領域で著じるしい。(3)風圧変動のパワースペクトルは, 周波数が小さくなるにつれて, 停流点より風下側ではしだいに準静的理論値に近づくが, 停流点より風上側では実験値の方が理論値よりもかなり大きくなる。これは, 準定常理論値を求める時, 風向方向と風向直角方向の風速変動の相互相関を零と仮定したことに起因すると考えられる。(4)角柱の中央線に沿っての軸方向の風圧変動のスケールは, 迎角の増大に伴って大きくなる。スケールの増大する割合は, 一般流の乱れのスケールに関係があり, 乱れのスケールに対する角柱の大きさの比が大きい程, 風圧変動のスケールの増大率は著じるしい。(5)角柱の風上面に作用する風圧変動の特性は, 停流点から風下へと移動する。風圧変動の移動速度は, 迎角0°の場合が最も大きく一般流の流速の約1.7倍で, 迎角の増大に伴って減少する。迎角20°以降は, 移動速度はほぼ一定となり, 一般流の流速とほぼ等しい。(6)風の乱れによる建物のねじり振動の大きさは, 曲げ振動の約5割に達する。壁面に沿う風圧変動の移動は, このねじり振動を1割程度増大させる。
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© 1981 一般社団法人日本建築学会
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