日本建築学会論文報告集
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古代宮殿建築における前殿と朝堂 : その 4 平城宮 (3)
鈴木 亘
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1983 年 328 巻 p. 125-135

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抄録
称徳紀にみえる西宮の前殿は, 天平宝字初年に, 朱雀門北方の和銅創建大極殿の旧地に造営された宮室の正殿と推定される。また西宮の寝殿は正殿の北側に建つ後殿と考えられる。西宮は称徳天皇が御在所とした宮室である。西宮の前殿では元正朝賀, 新嘗豊楽宴, 法王拝賀などが行われた。これにより, 西宮の前殿は, 当時, 平城宮において大極殿につぐ格式をそなえた建築であったと推察される。光仁紀にみえる前殿は, 内裏の正殿ではなく, 光仁天皇が御所とした楊梅宮の正殿と推定される。前殿では元正宴, 正月十六日節会, 賜遣唐使節刀などが行われた。
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© 1983 一般社団法人日本建築学会
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