日本建築学会論文報告集
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オートクレーブ養生軽量気泡コンクリート (ALC) 部材の基本的曲げ強度性状 : オートクレーブ養生軽量気泡コンクリート部材の強度性状の研究 その 1
松村 晃
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1984 年 336 巻 p. 42-52

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抄録

本報で明らかにした事項は, 以下のようである。(1)コンクリートの応力度ひずみ度曲線は普通コンクリートに比し最大応力度までは直線に近く, 平均的に(6)式で代表できる。(2)通常使用される9φ以下の細径鉄筋は, 養生の影響により養生前より降伏点が上昇する傾向がある。(3)曲げひびわれモーメントは鉄筋比の大きいものほど大きく現われ, (9)式で近似できる。(4)曲げ材の降伏および終局強度, ならびに強度と変形の関係は, (6)式および図5に示す係数値を用い, 鉄筋コンクリートと同様な手法で解析することができる。終局モーメント値は, 応力ブロック係数k_1=0.71, k_2=0.39, k_3=1, ε_u≒0.35%として, 鉄筋コンクリートの終局曲げ強度式でよく推定できる。(5)圧縮鉄筋は普通の鉄筋コンクリートの場合に比し, 剛性の増大に著しい効果がある。(6)ALC板材の表層に打設されたモルタル層は, 付着性を向上すれば容易に合成効果を期待し得る。(7)設計基準(1983)による曲げの許容値はp_<tb>以下の場合, 破壊安全率が長期設計で約2.6短期設計で約1.7以上, ひびわれ安全率が長期設計で約1.2短期設計で約0.8以上をそれぞれ確保できると思われる。なお, 上記は既述のように主筋の付着定着強度が実用上十分であるとの前提で成るものである。

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© 1984 一般社団法人日本建築学会
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