日本建築学会論文報告集
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516 南庭より車寄へ : 運動的空間の萌芽(意匠・歴史)
井上 充夫
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1957 年 57.2 巻 p. 469-472

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抄録
平安時代の宮殿・邸宅の建築は、主人の専有空間としての色彩が強く、外部から入ることに関する建築的表現は殆んどみられない。これは南庭と南階を使用する当時の儀礼の形式からも証明できる。ところが平安末期ごろより、新しい入口形式として車寄が次第に発達し、南階にとって代ろうとする傾向があらわれる。これは軒唐破風を備えて、「入口」としての積極的な表現をもち、内外空間の連結点としてその間の流動性を表示し、かつ近世における建築空間の運動的構成への出発点となつたことを論ずる。
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© 1957 一般社団法人日本建築学会
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